かつてまだらな銀色が降り注ぐ砂丘をそぞろ歩いて、明月の三姉妹と共に踊った。
かつて影の伸びる大地を、血と涙が織りなした泉の園圃を走った…
花の女王の悲しみによって、サファイアの都は涙のように浮かび上がった。
サファイアの天蓋の下、ティナル人は智者を輩出することを誇りにしていた。
ティナル人のトゥライトゥーラの国は、花の女王が一番気に入っていた珠玉であったと言われている。
黄金の時代、月のように白い顔色も琥珀のような蜜の輝きを放っていた。
花園に咲き誇る、夢のような紫色のパティサラ…膨らんだザクロは高らかに歌う…
運河は輝きながら縦横に流れ、神が死んだ日々でさえ砂嵐に阻まれたことはなかった。
「サイフォス、流浪する貴族、わたしの愛する人…」
「サイフォス、国の剣、ジンニーの寵児…」
「月の色のヴェールがあなたに平和を授けますように。今夜の舞はあなただけに捧げるわ。」
「明日は旅立ちのとき。智者たちはこの身をバッダナー王国に売った。」
「彼の曽祖父がわたしの故郷を壊したことを、わたしの親族を奴隷にしたことを忘れはしない。」
「わたしはこれから敵に奉仕しに行く。軽やかな舞とへつらいの言葉、夜風のような絡み合いで…」
「でもサイフォス、わたしの愛する人…今宵の星空と睡蓮はすべてあなただけのもの。」
「サイフォス、ねえ…わたしの愛する人。少なくとも今宵は、わたしの名を忘れないでちょうだい。」
衰退してゆく王に媚びを売って、トゥライトゥーラを統治する智者たちへ貢物を贈る。
宮廷の踊り子マカイラの名も名簿にあったために、金色の瞳の恋人との別れを余儀なくされた。
その後の物語は、多くの人々によって口伝され、多くの人々に忘れられていった…
マカイラの復讐はかなった。砂海の自惚れた王国を滅ぼしたのだ…
その命は毒蛇に飲み込まれ、重い金の砂を衣服にして、醒めない眠りへと落ちた。
サイフォスは貴族の名誉をかなえた。だが、彼を疑い恐れた貴人を守るため、犬死にをした…
トゥライトゥーラの鋭い剣は、栄誉と希望を失ったもう一人の放浪していた王子の手によって折られたが、
彼の放浪はまさにジンニーが産み育てた踊り子——毒蛇のような心を持った踊り子によるものなのであった…
結局、すべての良民と悪人は、等しく運命のひき臼によって潰された。
サファイアの都は色を失い、バラバラになった。まるで涙が、烈日の下で乾いたように。