水の色は常に移ろいゆき、形は変わり続ける。鍛えれば鋭い刃となり、良弓に姿を変ずる。世のあらゆる物質の中で、水こそがもっともしなやかであり、もっとも強靭なもの。十八般兵器において、この良弓は水を呼び起こす奇妙な力を持っている。「あらゆる汚泥を包み、あらゆる穢れを濯ぎ、そして自らを清らかに保つ」「その形は無限に変化し、無窮の命を模倣できる。千変万化でありながら、その本質を失わない」「無数の流れに分かれ、密になろうと規律正しく。合わされば荒波の如く、断ち切ることができない」「澄んだ藍の下、その奥深くには光さえも通さない数多の秘密が隠されている」「これは水の神秘であり、千の心と知恵を持ってしても、その変化を理解できはしない」群玉閣の貴人の下で働く機会に恵まれる前、年配の先達にとある教えを聞いたことがある。権謀術数の世界では、暗礁と嵐に見舞われることが多く、難破した船の残骸が散在している。だが野心に燃えた、莫大な財を持つ人であれば、往々にして風を切りながら航海できるそうだ。こうして、偏在する争奪と悪意をかわしながら、逆流する瀑布の間を登っていくのである。「とはいえ、傑物足る気質など持っておらず、膨大な退屈にも耐えられはしない」「茶室で茶を愉しみながら、六面賽子が導く千万の世事を見るほうがいい」「夜闇に乗じて、賊人が潜む拠点に潜入したことがある。異国の難敵の陰謀を暴いたこともある」「しかし、これらは長者や権力者のために敵を排除したわけではない。ただ、水にも源泉があるゆえのこと」源泉の清浄を維持するため、水の優しき意志を鋭い刃へと変え、良弓とする。薄青色の満月の下、陰謀と暗号が交錯する中、綽然でありながらも、あらゆる状況をさばけるものが水の知恵である。